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受験反省会5・・・合格基準点 [受験反省会]

これまで物分かりの良い受験生を装ってきましたが、やはりひとこと言いたい。合格基準点の補正(いわゆる「救済」)のことです。


初めて救済の意味を知った平24年試験。このとき私は選択式で社一2点で基準点ワレ。合格発表までの2か月半の間、社一2点の受験生は、同じく救済を切望する厚年2点の受験生と救済科目を争っていました。しかし、復元データを元に発表する資格学校の救済予想が社一に傾いていたことや、厚年の問題形式が4択式だったことから、次第に「社一の救済が優勢」となっていました。


はたして、厚年の単独救済。いったいなぜ・・・という思いを持つ社一2点の不合格者が成仏できずに漂いました。


そんな思いを明確に断ち切ってくださったのがTKTKさんでした。TKTKさんはとあるブログのコメント欄で試験結果の開示請求を厚労省に行うと宣言。「そんなの無意味」「できるわけない」といった否定的なコメントがある中で、なんと本当に試験結果を入手。ご自身のブログで発表されました。


この結果を見ると平24年試験の選択式の平均点は、大方の予想を覆して社一よりも厚年のほうが低かったのです。救済は単に平均点が低いほうから決めるということがハッキリした瞬間でした。これで私もあきらめがつき、再チャレの思いを新たにした記憶があります。


一方で平25年の選択式試験。もうこれはムチャクチャに難易度が高い内容でした。これもTKTKさんが試験結果を厚労省から引っ張ってくださいましたが、これによるとネット談義や資格学校の予想の中で最も平均点が低いと思われていた労災が実は最低でははなく、社一が最低点で1点救済。


これらのことから、資格学校に登録される復元回答に基づく平均点と、資格学校に頼らない(あるいは復元回答を登録しない)全受験生の平均点との間には大きな違いがあることが分かりました。


そして平26年。当初は、資格学校が集計するデータによれば労一の平均点が最も低かったところ、全受験生のデータを比較的よく表していると思われているユーキャンの平均点では、健保の平均点のほうが最も低いことが判明。一方、資格学校の平均点データでは健保の平均点はけっして低くありません。


う~ん、「資格学校による平均点と全受験生の平均点の乖離」によって健保に救済を持っていかれるのか・・・


ふたを開けてみれば、やはり健保は救済。TKTKさんがさっそく試験結果を入手され、それを見ると、なるほど健保の平均点が最も低い。


しかし驚いたことに、もうひとつの救済科目であった雇用の平均点は、救済の無かった労一のそれよりも高かったのです。そもそも、今年の大方の予想は「救済ナシ」だったにも関わらず、あろうことか救済が2科目。これだけでもサプライズなのに、平均点が3番目に低い雇用が2番目に低い労一を差し置いて救済。いやはや・・・


最後に言わせてください。合格基準点のこと。言いたいことは以下の3点。


1つめ。もし平均点が低い順に救済をするというのであれば、なぜ機械的にやらないのか。「今年の労一は余裕で取れる問題。あれで救済などおこがましい」という意見は意見として、平均点2.6点の雇用が救済され、平均点2.3点の労一が救済されないことに、資格試験に必要な「公平性」が担保されていると言えるのでしょうか。


2つめ。平均点が低い順に救済するという考え方で本当に良いのか。先に例示した平24年厚年の問題は厚年基金に関する問題で、テキストに記載されている基本的なものでした。すなわち、テキストをちゃんと読み込んで理解するというプロセスを踏めば取れる内容です。今年、平26年で救済された健保も同様。確かに細かい内容ですが、受験生であれば「いつか出題される」と手ぐすね引いて待っていたはず。


また、同じく今年救済された雇用は、あろうことか法改正に関する内容です。このような資格試験の意義として、試験問題を通じて法改正を周知するという目的もあるかと思います。そうであるからこそ、受験生ならば法改正をおろそかにすることなどありえません。


そのような問題なのに、思いのほか平均点が低かったからといって合格基準を下げれば、知っておくべき知識を知らない社労士が増えることになります。社労士ならば必ず知っておいて欲しい知識を問う問題こそ、平均点など無視して基準点を3点に固定すべきではないのでしょうか。


そして3つめ。一個人であるTKTKさんが請求をしただけであっさり試験データが開示されるのであれば、なぜ厚労省自らが最初から情報公開をしないのか。


どう考えても、これまで開示されたデータはツッコミどころ満載で、もし合格基準点の設定になんらかの不都合な真実が隠されているのであれば、適当な理由をつけて開示しなければ良かったはず。しかし、した。


そんな状況だったにも関わらず再び今年の試験で、「突っ込んでくれ」と言わんばかりの不可解な合格基準を設定してきました。少なくとも、労一は「絶対に」救済されないことが確認されました。


そして、この情報を知った受験生とそうでない受験生との「公平性」の問題も、また生まれてしまいました。もう、何が狙いなのか分かりません。


「バロンが落とした科目は救済しない」なんてどなたかに言われもしました。それはそれで申し訳ないです。いや、そんなことあるはずないですよ(笑)。


試験問題の内容や合格基準点の設定は、厚労省や社労士界から「こういう問題解決能力のある人物が欲しい」というメッセージのはずです。私はそのターゲットに当たりませんでしたが、せめてこれからの受験生に、社労士になるには最低限どのような能力が必要であるかを明確にうたい、社労士試験がそれを実現するための機械的な手段になるよう望みます。


また、社労士の仕事は試験では計り知れないほど奥深いはずです。試験に受かったくらいで開業なんてできるはずがありません。ならば、資格取得という「入口」は広くして合格後の実務の面で厳しく選別したほうが、より「使える社労士」が増えるように思います。


以上、真剣に社労士試験と向き合った一受験生からの主張でした。あぁ、やっと言いたいことが言えた~



TKTKさん、この場を借りて御礼申し上げます。TKTKさんのご尽力のおかげで選択式の平均点が明らかになり、引き続き合格基準が不可解であることには変わりませんが、何も分からないことによるストレスは無くなりました。少なくとも今年、健保の平均点が労一より低い事実を知らなければ、相当に心を病んでいたはずです(逆に、雇用については笑える余裕が生まれました)。




次がラストメッセージです。



コメント(15) 

コメント 15

コメントの受付は締め切りました
6回目で合格したベテ

5回落ちました(あなたと同じ)
昨年、労一2点で切り捨てられました(あなたと同じ)
やりきりれない悔しい思いもしました(あなたと同じ)

でも、あなたと違うところは試験制度に文句はありせん。
頭のいい人だけが合格するのではないところが社労士試験のいいところだと思います。

社労士に限らず各種の資格試験では
一定の受験資格者の科目免除を与えてます(そもそも不公平です)
論述式の試験では採点者の恣意性が入ります。
完全に公平なんてないと思います。


by 6回目で合格したベテ (2014-12-30 09:37) 

バロン

>6回目で合格したベテさん

コメントありがとうございます。私もこれまで試験制度に文句を言ったことはありませんでしたが、ブログ更新を終えるにあたり、一受験生の率直な感想を表明した次第です。いろんな考え方があるものですね。
by バロン (2014-12-30 11:17) 

今さらでしょ。

バロンさんのお気持ちは分からなくもないですが、なぜ4000人、9パーセント以上の人が3点確保できた労一が、2点だったのですか?
総合点はともかく、労一が試験で足りなかったというだけの話でしょ。
救済があったっていいじゃないですか。問題の難易度で補正があったって。杓子定規に切り捨てるとか、ベテランだけが有利より良いと思いますけどね。みんなが取れた問題を取れなかったこと、いつも無意味な問題だったで結論づけているように感じまが、、

他の科目で救済された人は、社労士にふさわしくないと仰りたいのでしょうか?
別の道で頑張ると決められたのだから、社労士の世界のことも受験のことも、もういいでしょう。
by 今さらでしょ。 (2014-12-30 13:02) 

ゆず

初めてコメントさせていただきます。
今年労一の基準割れで不合格でした。バロンさんと同じ境遇になり救済を望んでいましたが望みは叶いませんでしたね(泣

今年の試験データは本日私も見ました。やはりというか逆転補正でしたね。なんなんでしょう?理解に苦しみますよ、こんなんじゃ この結果なら不平不満言ったってかまわないでしょ(笑
自身も本日のバロンさんの素直な気持ちに同感です。
ただ、だからといって立ち止まれませんもんね
私はもう一踏ん張りしてみます。
ブログお疲れ様でした。


by ゆず (2014-12-30 13:25) 

TKTK

>バロンさんへ
いろいろとありがとうございました。
バロンさんのブログは、受験生にとって指針になるような記事が満載でした。家族の受験生も大いに参考にさせていただいていました。

こんな表現は、すこし違っているかもしれませんが、
「記録に残らないけど、記憶にのこる大選手(受験生)」がバロンさんだと思っています。私にとっては、かつての「七海」さんと同じく尊敬できる方でした。
来年バロンさんは、新たな「目標」に向わられると思いますが、陰ながら応援していますので頑張ってくださいね。

(追伸)
社労士試験のあり方についての考えは、いろいろあり、コメント欄が荒れる原因になるためここでは触れませんが、
ただ、事実として、
衆議院付帯決議で「社労士試験制度の見直し」を指摘されていることや
情報公開審査会への「異議申立て」について、
内閣府事務局の方も、「私と同じく、試験制度のある事(重要)に関して疑問を懐いている」ことがあるのを申し添えておきます。
by TKTK (2014-12-30 13:44) 

マッキン

バロンさんこんばんは!
こちらにコメントさせていただくのは、随分久しぶりです。
バロンさんと同じような受験歴で同じような成績でしたので、バロンさんのお気持ちは痛いほどわかります。
私も24年に社一で落ちた時は個人的に開示請求したぐらいですから。。。

以前に資格マニアの方とお話したときに合格率が10%を切る資格は運の要素が強くなる。特に社労士試験の足切りはひどいということを言われたことがあります。
特に今年の合格基準といったら(苦笑)。

誰もが納得のいく合格基準っていうのは難しいのかもしれませんが、逆転補正だけはどうしても納得がいかないって思いました。


社労士試験を撤退されるということですが、バロンさんなら絶対に次のステージで成功されると思いますよ!
あの時に社労士試験を撤退して良かったって思えるほどの大成功を次のステージでしてくださいね。
同じ試験年代を闘ってきた同士として陰ながら応援しています。本当にお疲れ様でした。

by マッキン (2014-12-30 20:48) 

バロン

>ゆずさん

私は「イヤなら辞めろ」の考えなので、試験制度に文句をいうくらいならとっくに試験をやめています。試験を断念するのは自分の実力を見切ったというのが正直なところです。再起を図られるとのこと、ぜひがんばってください。
by バロン (2014-12-31 01:06) 

ああちゃん

バロンさま
犬が可愛くて読んでしまいます。

私も同じ気持ちでバロンさまより長く試験と戦いました。

私はこう感じます。
実力が十分にある方の試験結果についていつまでも講師に相談したり、試験制度に不満を抱えている段階では前に進みません。


最後の一線を越えていく方法、つまり弱点、試験に負ける原因を追求しコントロールできるのは自分自身だけです。


選択試験を突破できる市販の問題集、択一高得点選択で落ちる方はこれを読むと戦い方が違ってきます。奇問の対応策が学習できます。


バロンさまは人気ですので次世代の受験生へ私もメッセージをさせて頂きます。

それにしてもバロン様の試験後のブログも思いであふれていますね。

社労士への情熱を感じます。
情熱は何より大切な仕事へのエッセンスです。
ブログありがとうございました。






by ああちゃん (2014-12-31 01:12) 

バロン

>TKTKさん

勝手にTKTKさんについて記事にしてしまって失礼しました。どうしてもお礼が言いたくて。

なぜか救済の話になると、受験生はともかく合格者まで入り込んで互いにののしりあうんですよね。いいじゃないですか。いろんな考え方があって。ネットだとつい、自分の意見を相手に押し付けることが多いようです。

七海さん、覚えています。確か、この方を追っかけてブログを立ち上げた方もいらっしゃいました。私も、たった2年間のブログでしたが多くの方に訪問していただき、「残念な受験生」として記憶に残ったのかもしれません。ですが、これは事実です。合格者の方には、まぐれではないその手元にある合格証書を、ぜひ大事に活かしていただきたいと思っています。

クチだけで終わるのが常のネット社会において、TKTKさんの実績は本当にありがたいものでした。これから先、どのような展開になるか分かりませんが、1ファンとして見守り続けます。あらためて、ありがとうございました。


by バロン (2014-12-31 01:18) 

バロン

>マッキンさん

おぉ、東京テレポートさん(笑)。マッキンさんは昨年、早々に再チャレを宣言されました。見事、今年の合格、受験キャリアが似ている者同士うれしく思います。

同じく受験キャリアが似ていた同士で、昨年合格されたレオンさんとは1月に都内でお会いすることになりました。マッキンさんも気が向いたらご連絡ください。

やっぱり、やりかけたことを途中で止めるのは辛いことです。かといって、自分が試験に費やせる時間にも限度があり、その資格が直接的に仕事に影響しない立場では、見切り千両の精神で歩みを止めた次第です。

私でなくても社労士は勤まります。ぜひマッキンさんが手に入れた資格が有意義に活かされるようお祈りいたします。これまでありがとうございました。
by バロン (2014-12-31 01:26) 

バロン

>ああちゃんさん

私もいろんな方から選択式に関するテキストを紹介していただきました。単にテキストの穴埋め対策ではない、文脈や選択肢から答えを導く手法は、まさに目からうろこが落ちる思いで読破しました。

今回の本試験もそれでやり抜いたのですが、ちょっとダメでした。向き不向きがあるようです。私は制作や営業といった現場でがんばっていきます。ありがとうございました。
by バロン (2014-12-31 01:32) 

「MAC」と申します。

初めて書きます。
今年8月、2回目不合格の50台後半の会社員です。
今、家族が大掃除しているなか、勝手に勉強中です(笑)

3回目受験を家族に宣言しましたが、家族からは「司法試験でもあるまいし、さっさと合格してよ。」と冷たい視線も感じています(笑)

ここ2年間TVも全く見ていません(新聞のみ)。ちょっとくたびれ感もありますが、もう一年頑張ります。
部下には、「俺も資格試験勉教を頑張っているので、お前も仕事をもっと頑張れ。」的なことを行っているので・・・

最近このプログを読ませていただいています。
素直な気持ちが伝わってきて、心が熱くなります。

おっと、勉強、勉強ですね!
バロンさんに負けないように、もう一年頑張ります。

ご自愛ください。

byMAC(2014-12-31 9:50)


by 「MAC」と申します。 (2014-12-31 09:51) 

ハニー

初めまして、思わずお礼が言いたくて
今年初めて受験しました。
この1年の勉強で何度も何度も心が折れそうになり、そんな時バロンさんのブログに助けられました。
「まったく無関係でも」「センス無くても」努力しておられる方がいるそれだけで私も頑張り続ける事が出来ました。

結果は、敢無く択一30点も届かず、、、どうしようもない結果でしたがもう一年だけ努力し続けています。
私に、努力し続けるすごさ!を教えてくれたバロンさんありがとうございました。
by ハニー (2014-12-31 21:14) 

バロン

>MACさん

コメントありがとうございます。次で合格ですね。私のブログを通じてしっかり試験対策を立てれば怖いものなしです(笑)。コメント欄にも多くの方からのアドバイスが載っています。ぜひ、ご活用ください。
by バロン (2015-01-01 03:56) 

バロン

>ハニーさん

「私のブログで助けられた」というコメントをいただくたび、本当に恐縮してしまいます。誰かの役に立てているのであれば、これほどうれしいことはありません。

ハニーさん。択一は頑張れば得点アップしますよ。私のブログに加え、コメント欄に寄せられる勉強法を参考にしてください。このブログには多くの人の汗の涙の結晶が詰まっています。

ぜひ、目標を達成されますことを。
by バロン (2015-01-01 04:02) 




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