SSブログ

理想と現実の狭間で [ラストメッセージ]

ウチの会社は数年前、コンサルを入れて大規模に人事・給与制度が変わりました。9時6時勤務だったものが裁量労働制に変わり、給与に直結する評価制度が、全社一律の画一的な評価基準で測定するものだったのが、個人が上司との面談を通じて設定した目標への達成度で測るようになったのです。


その大改革のきっかけとなったのが、就職氷河期に入社し、長い景気低迷で低位にとどまっている若手の給与と、高度経済成長を支えて給与が高値安定をしているベテランとの給与格差。そして、業績悪化が生んだサービス残業と、労基署からの指導。


じゃぁ今、さぞ働きやすい会社になったかといえば、そうとも言えません。先月も、私より後に入社した社員が私よりも先に辞めていきました。ひとりは会社の自分への評価に対する不満から。ひとりは心の病で。


コンサルに大金を払って導入した新制度も、社員の立場からすれば裁量労働制は残業代を払わなくて良い口実にしか見えず、また新評価制度も、上司との面談や目標設定など、本来業務以外の仕事が増えて面倒にしか感じていません。「ハロー効果」や「論理誤差」が起こり、結局「中心化傾向」で何をやっても評価がたいして変わらないことを知っているからです。


つまるところ、会社の業績が悪ければ、どんなにすばらしい制度も社員にとっては厳しめにしか作用しません。


会社側の本音は、法令順守。ありていに言えば、労基にさえ刺されなければいい。


社員を大事にすれば社員が積極的に働き、企業が活性化する。そして売上げが上がる・・・という白書に記されるようなストーリーは、にわかには信じがたいです。


仮に給料を上げても、しばらくすればすぐに「もっともらえるはずだ」と不満が募り、労働環境をゆるくすれば、それを悪用する社員が出てくるものです。結局、総労働時間が減るわりに労務費が上がり、業績は悪化する・・・


そのような労働環境の中で、賃金制度や労働環境を変えるだけでは社員の「働く気持ち」は向上しないと、私は思います。


私の場合、部下の社員には会社の現状を話せる範囲でていねいに説明し、当事者意識を持ってもらうようにしています。また、部下のやっている仕事に対してねぎらいの言葉をかけること。「ありがとう」とお礼を言うこと。良いところは誉め、悪いところはしっかり面と向かって指摘すること。


とにかく、部下に声をかけること。一人ひとりの社員の存在を認めること。


これで効果があるかどうか分かりませんが、給与を上げたり勤務制度を変えたりする権限が自分には無い以上、声をかけ続けて部下の力を最大化させることを、日々試みています。


これから私は、法の掲げる理想と企業活動の現実の狭間を埋めるべく、自分のポジションでできることをやっていきます。この4月に就いた売上部門の業績は、何とか予算をギリギリ達成しています。あと3か月、年度予算達成に向けて邁進します。また、簿記をやってみようと思います。売上げを管理するようになって会計知識が無いことを痛感しましたので。


そうそう、5年間の勉強で唯一獲得した成果、年アド2級も受け続けて、年金の知識はブラッシュアップを図っておきます。


法や制度が無力かといえば、そんなことはありません。社労士の方や社労士を目指そうとしている方は、経営者に近い立場にいる力を活かして、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上を実現してください。総務部でもない私は、営業や制作の現場からみなさんと共に働きます。



これまで長い間ご愛読、ありがとうございました。コメントも多数いただき、感謝しております。社労士が社会の中でますます地位を上げ、使用者・労働者双方にとって、無くてはならない存在になることを本当に心の底からお祈り申し上げます。



コメント(11) 
共通テーマ:資格・学び

コメント 11

コメントの受付は締め切りました
9回目

2014年ギリギリのアップでしたね。
簿記は社労士と違いやっただけ、返ってきます。私も1級はとりました。2級までは独学でいけます。まずは3級から頑張ってください。楽しいですよ。
私はまた、宅建、2級建築士も持っていますが、これらも普通に勉強すれば、1回で合格します。
社労士はこれらの中で合格率が唯一、10%を切っていますが、 中々手強い。それでも趣味、クイズ感覚で受け続けようと思っています。50年少しの人生で一番の後悔は税理士試験を2年で断念したことですから。継続は力なりです。
例えは変かも知れません。先ほど終わった紅白のとりで松田聖子が思うように歌えなかったのは何故か?それが答えなのです。
by 9回目 (2015-01-01 00:53) 

信州のたぬき

最後の記事、何処も同じかと感じました。
これでお別れかと思うと寂しい限りですが、貴兄のこれからのご活躍を信じて止みません。
by 信州のたぬき (2015-01-01 05:45) 

医龍

バロンさんのブログ、以前より拝見しておりました。
私事、2回目で合格することができました。
今年度の合格基準点については『厚労省、ええ加減にせぇ!!』という気持ちです。
司法書士試験のように公正な試験制度の中で、努力した人が報われる。
少しでも早く、そうなってほしいと願います。
バロンさんのお言葉で、どれだけ多くの方々が勇気づけられたことでしょう。
人に力を与えることは簡単ではありませんし、私にはまだ到達できません。
社会保険労務士試験に合格したものの、今は労務・社保とは畑違いの部署にいます。
また、退職して開業目指すと言ったら『何考えとんや!』と言われる職業かもしれません。
これから少し、自分は何をしたいのかを問い、進んでいきたいと思います。
貴殿のご活躍を願い、私の言葉とさせていただきます。

医龍
by 医龍 (2015-01-01 08:58) 

るいるい

バロンさま、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
今回の選択式で失敗してからなので、読者としては新参者なのですが、バロンさまのブログには、励ましていただきました。
新たな道でのご活躍、祈念しております。
ここで、こんなことを言うのもなんですが、バロンさまはまた受験を再開されるのではないかと思います。
以前のコメントでどなたかがおっしゃっていましたが、その時は、公表せず、こっそり始められればよいと思います。
ごめんなさい、はなむけの言葉になっていませんが、これが私の気持ちです。
by るいるい (2015-01-03 14:03) 

あざらしのごまふ

これでバロンさんのブログ更新が無くなると思うと寂しいです。
年アドも簿記も本当に合格基準が明確で公平だなと社労士試験を受けて実感しました。
昨年は合格しましたが、合格基準を見て「えーっ!どうかしてるぜ!」と思いました。まぁ毎年、思っていましたが(^_^;
受験初年度に「え?明確に○○点以上と決まって無いの?」と驚きました。
年アド2級、今年受験しますが全て手書きの上、計算問題も有り今から冷や汗をかいております(‥;)
実家が小企業、夫がサラリーマンなので事業主と雇用者の両方の立場が分かります。夫が勤務する企業は正社員数も結構なものですが完全なトップダウン。
社長の御機嫌を損ねた社員は専務や次長から平社員に翌日、降格になるということが当たり前に行われているので、皆さん昇格を断るそうです。
外からのイメージが良かった分、とんでもないパワハラ会社でよくも誰も訴えないのねと感心した程です。労基法も余裕で抵触してます。
実家は実家でモンスター社員が2人ほど居り、社労士さんに何時も相談しております(T_T)
夫の会社みたくハバネロに鞭では駄目ですし、実際、新入社員が3年以内に8割方辞めて行きます。
実家の様に逆に社長がナメられてもいけませんし、本当に「飴と鞭」なんですよね。うーん、その匙加減が難しいです。

バロンさん、今まで有り難う御座いました。私も独学だったのでバロンさんのブログを読ませて頂きながら勝手に仲間が居るんだ!と思って勇気付けられてきました。年齢も同じですし親近感が湧いていました(^^) 
出来ればブログを続けて頂きたいのですが、バロンさんも社内で沢山される事があると思いますので無理は言えません。
本当に本当に感謝致しております。お疲れ様でした。でも…たまにで良いので更新して欲しいというのが本音です。


難しいところです。
by あざらしのごまふ (2015-01-03 14:42) 

Riddy

大変にお疲れ様でした。様々勉強させていただきました。ありがとうございました。私は昨年3回目で合格、本年の開業目指して準備中です。

一昨年「絶対合格する」と日々思いながらも択一1点足らずの不合格。受験継続を迷いましたが、「合格するまで何十年かかっても受験し続ける」と決意して勉強を再開しました。

昨年の8月、ひたすらこなした選択の演習では「知らない論点でも何が何でも3点とる」と強烈に決意する訓練をしました。

バロン様のブログ、勉強仲間、取引先の社長さん達や家族に支えられ、足切りなしの結果で一区切りつけることができました。

たった一点ですが、その重み、理不尽さ、情けなさ、やり場のなさ等の、あの複雑な想いを共有できる人がいると、バロン様のブログを拝見する度に励まされてきました。

失敗を重ねると他人の痛みがわかるようになりますし、他人の痛みがわかると幸せになりますから、そう考えると社労士試験も悪くないかなと思います。

寒い日が続きますから、ご家族の皆様共々お身体はお大事になさってください。
by Riddy (2015-01-09 01:21) 

社労足軽

明けましておめでとうございます。

お疲れ様でした。
そしてありがとうございました。
良い年となりますようお祈り致します。

私は…合格の年とし…ます!!
by 社労足軽 (2015-01-09 23:38) 

やっちゃん

お疲れさまでした。
ブログを拝見致しまして、社労士に挑むことを決意した50代の男性です。
1月から勉強を開始していますが、仕事と子育てをしながらですから、なかなか大変ですよね。でも、バロンさんに負けないように頑張ります。
私の知人で、司法試験の受験を諦めた人がいます。何年やっても受からないからです。実際、受験を諦めたのですが、やはり未練があったのでしょうね。さして勉強しなかった年にひょっこり受かりましたよ。『もぅダメだ!』と思ったときが『底』で、ですから『もぅダメだ!』と思えたらシメたもの・・・と言うのが、ワタシの持論となりました。自己破産して『もぅダメだ!』と言っていた友人も、その後V字回復して、今じゃ一部上場企業のサラリーマンやってますしね。
バロンさん、誰にも内緒で今年受けた方が良いですよ。ワタシの理論からすれば、合格です!
by やっちゃん (2015-02-25 07:56) 

りょうちん

バロンさん初めまして。
私は今日初めてこちらのブログを拝見させて頂いたのですが、とてもショックを受けたので思わずコメントをさせて頂きました。

私は昨年2月から社労士の勉強を開始した40代受験生です。昨年の結果は択一/選択 38(雇用3点)/31(健保2点)で落ちましたが、選択式はギリギリ合格基準に達していたし、半年の勉強の割には予想より良かったかなと思い、今年度の合格を目指して気楽に取り組んでおりました。

…が、TACの模試でA判定を出されている方(私から見れば神のような存在)でも残念な結果に終わることがある。(しかも3年連続で総合得点は合格ラインを越えているのに…!!)ということを知り、私も相当の覚悟をもって臨まなければならないんだなと気付かされました。

26年度の選択式の労一は3点だったのですが、私も初心者故に”毎月勤労統計調査”しか聞いたことがなかったから、それを当てはめたに過ぎず、逆に知識が付いたことによって惑わされることが増えるということは考えも及びませんでした。そう考えると、今年はたまたま実力もないのに運良く合格ラインの点数が取れてただけだったのですね。

まぁでも、私はそもそも力不足なので落ちて当然なのですけど、バロンさんはそこまでお力があるのに(上位1%内に入っているということは、100人いたら99人を追い抜いているのですから)やめてしまうのはなんとももったいない気がします(私と代わってもらいたいくらいです(笑))。1ヶ月くらい軽くおさらいと法改正・白書対策だけして、気楽に受けてみてはいかがかと思ってしまいます。

なんて、すみません。バロンさんご自身が決断なさったことに初心者の私が軽々しく意見を述べるものじゃありませんね。

いやぁ、でも社労士試験は怖いものなのですね。運にもこんなに大きく左右されるものだったとは。うぅ~む。

受験反省会で書かれているように、私も今年はテキスト中心に覚え込み&過去問1問1答をパーフェクトにすることを目標に学習を進めています。これで大丈夫なはずだと自分で思って進めておりましたが、バロンさんの方法とたぶん同じなので、正しい方法なんだと自信を持って今後は取り組んでいけます。ありがとうございました。それがわかっただけで、とても気が楽になりました。

それからこちらのブログはとても参考になりました。これからバロンさんのように自分もA判定が取れるように高みを目指してゆきたいと思います。

私は今年ダメだったら来年。来年ダメだったら再来年。と気楽に続けてゆこうと思います。(^^)
by りょうちん (2015-03-11 00:32) 

飯田と申します

確かに小生はH25に余りの出題意図で
翌年の受験は控えたのですが
今年は
なんとか再チャレンジしたいと思い
ポチポチ再開しています。
またよろしくお願いします
飯田
by 飯田と申します (2015-04-30 16:54) 

カイジ請求。

社労士です。今年の基準についてのネットの反応をみて書かせて頂きます。歴史は繰り返す。というか数年前にも理不尽な基準と考える受験生がマスコミ、行政、試験機関等に不服申し立てをしていましたが、合格した人間や同業者を見るに、また僕個人的な感想でもありますが、僕自身不合格の事実を受け入れ謙虚に学習を重ね、合格した際も、その後の研修においても、運営が一見理不尽な基準に思える基準そのものが実際には非常にシビアではあるものの厳然たる能力担保のための基準を敷いているという結論です。今回はイレギュラーではあっても能力担保の面でそれほど理不尽な基準ではない。と考えます。そもそもこの試験は理不尽さも含めてそれを能力担保の本質とする性質の国家試験です。ネットの情報にあおられることなく本質を見据えて何を成すべきか、何を必要とされ要求される試験か、それを踏まえて行動されることを、あまりそのような意見を見ないので記述させていただきます。失礼します。
by カイジ請求。 (2015-11-29 22:38) 




インズウェブの自動車保険一括見積りサービス

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。