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「全労働日」の解釈の裏に隠された人間模様 [平26:5回目の挑戦]

法改正に着手。ほぉ、労基法では年次有給休暇の出勤率の算定ルールが見直されたんですね。


これまで、「使用者の責めに帰すべき事由による休業日」は全労働日に含まなかったところ、「労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日」は、原則として全労働日に算入することになったとのこと。


???


TACの法改正セミナーで岡根先生の講義を聞きましたが、「そういうことになったんですね」と淡白な解説。


いやいやいや、「その心は?」ってところを聞きたかったんですが。でも、今じゃネットでいろんな方が解説してくれています。これらをまとめると・・・

1.あるタクシー運転手が会社と解雇無効について争っていた
2.タクシー運転手は解雇状態、つまり会社に出勤できないまま会社側と争った
3.裁判で解雇無効が確定した
4.職場復帰したタクシー運転手が年休を取得した
5.会社側が「あんた、全労働日ゼロじゃないか。だから出勤率もゼロ。年休もゼロ」と欠勤扱いにし、賃金を支払わなかった
6.再びタクシー運転手は会社側と年休権について争った


「あんたの解雇無効訴訟時の欠勤は、いわば『使用者の責めに帰すべき事由による休業日』だから、全労働日には算入しないね。だから出勤率ゼロとなって年休権は発生しないよね」との理屈。


出勤率っていう考え方は、勤務成績の悪い者を年休権の対象から外すためなんだろうなとは容易に想像がつきますが、会社側の無効な解雇のせいで労働者を出勤率ゼロに追い込んでおきながら年休権を認めないとは、会社側も大人げないというか、ストレートと言うか・・・ よほどこの会社と運転手さん、仲が悪いんでしょうね。


さすがに裁判所も、「使用者から正当な理由なく就労を拒まれて就労できなかった日」を「使用者の責めに帰すべき事由による不就労日」として全労働日から除くのはダメ。いや、むしろ全労働日に入れて出勤日数にも入れよと判断し、通達によって冒頭のようなルール変更がなされたようです。


それにしてもこのタクシー運転手も強いよなぁ。解雇無効について争って、やっと職場復帰できたと思ったら年休権について最高裁まで行ってるんだもんなぁ。自分にはここまで争いを続ける根性はありません。


会社もこの運転手さんも、力の限り闘ったのでしょう。私たちはこの熱い闘いの末に生まれた新ルールを、「うわぁ、また法改正ネタ増えちまったよ。めんどくせー」などとゆめゆめ思ってはなりません。感情をむき出しにした人間模様を想像しながら勉強しましょう。


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